「収納が足りない」「片付けてもすぐに散らかる」という悩みの多くは、実はモノの量ではなく収納の設計に原因があります。収納プランニングとは、持ち物の量や使う場所を把握し、最適な収納スペースを設計することです。
新築やリフォームの場面だけでなく、今の住まいでも収納プランニングの考え方を取り入れるだけで、暮らしやすさが格段に変わります。この記事では、初めての方でも実践できる収納プランニングのやり方と、失敗しないための設計のコツを詳しく解説します。

収納プランニングが必要な理由
収納を考えるとき、多くの方が「スペースを増やせばいい」と考えがちです。しかし、使い勝手を無視してスペースだけを増やしても、結局は使いこなせず散らかる原因になることがあります。
収納の「量」より「質」が重要
新築の引っ越し後に「収納に不満がある」と感じる方は少なくありません。その多くは、収納スペースの広さではなく、場所や使い勝手に関する不満です。
「使う場所の近くに、使いやすい形でしまえる」ことが、収納計画で最も大切なポイントです。どれだけ広いウォークインクローゼットがあっても、リビングから遠ければ結局リビングにモノが溜まってしまいます。
生活スタイルに合った収納を設計する意味
同じ間取りでも、一人暮らしとファミリーでは必要な収納が全く異なります。子どもがいる家庭ではおもちゃやランドセルの収納が必要ですし、リモートワーカーの方にはデスク周りの収納が欠かせません。
自分や家族の生活スタイルに合った収納計画を立てることで、「出す→使う→しまう」の流れがスムーズになり、片付けのストレスが大幅に減ります。
収納プランニングの基本4ステップ
ここからは、実際に収納プランニングを進めるための4つのステップを紹介します。新築やリフォームの予定がなくても、今の住まいで応用できる内容ばかりです。
ステップ1:持ち物の棚卸しをする
最初にやるべきことは、家にあるモノの総量を把握することです。「何をどれくらい持っているか」が見えないまま収納計画を立てても、的外れなものになってしまいます。
すべてのモノを一度に棚卸しする必要はありません。場所ごとに区切って、「キッチン」「リビング」「クローゼット」など、エリア別に進めるのが現実的です。
- エリアごとに分けて棚卸しする
- 使用頻度で「毎日」「週1」「月1」「年数回」に分類する
- 不要なモノは棚卸しのタイミングで手放す
- 棚卸し結果をメモやスマホで記録しておく
棚卸しは「何を残すか」を決める作業でもあります。判断の基準を自分の中に作りたい方は、整理収納の考え方をまとめた書籍を1冊手元に置いておくのも一つの方法です。
ステップ2:場所ごとに収納するモノを割り当てる
持ち物の棚卸しが終わったら、「何をどこにしまうか」を決めていきます。基本原則は「使う場所の近くにしまう」ことです。
たとえば、料理に使う調味料はキッチンに、入浴に使うタオルは洗面所に、通勤バッグやカギは玄関に、というように「使うシーンに最も近い場所」に配置します。この考え方を「適所適量」と呼び、整理収納のプロの間では基本中の基本とされています。
ステップ3:収納率で総量のバランスを確認する
住宅における理想的な収納率(床面積に対する収納面積の割合)は、一般的にマンションで8〜10%、戸建てで12〜15%程度とされています。
ただし、これはあくまで目安であり、持ち物の量やライフスタイルによって適正値は異なります。大切なのは、収納スペースに対してモノの量が多すぎないか(収納に余裕があるか)を確認することです。収納の8割程度をモノで埋めて、2割は余白として残しておくと、出し入れがスムーズになります。
ステップ4:動線を考慮して配置を決める
最後に、生活動線に沿った配置になっているかを確認します。たとえば、帰宅して最初に通る玄関には外出時に使うモノ(カギ・バッグ・上着)を、朝の身支度をする洗面所には化粧品やドライヤーを、といった具合です。
動線については別記事「収納動線の考え方」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

収納設計で失敗しないためのコツ
収納プランニングの基本ステップを押さえたら、次はよくある失敗を避けるためのコツを確認しましょう。ちょっとした工夫で、使い勝手が大きく変わります。
コツ1:「見える収納」と「隠す収納」を使い分ける
頻繁に使うモノは手に取りやすい「見える収納」に、あまり使わないモノは扉付きの「隠す収納」にしまうのが基本です。
見える収納は取り出しやすい反面、見た目が雑然としやすいデメリットがあります。一方、隠す収納は見た目がスッキリしますが、何がどこにあるか忘れやすいというデメリットがあります。使用頻度に応じてこの2つを使い分けることが、収納設計の肝です。
コツ2:高さを3つのゾーンに分けて考える
収納スペースの高さは、大きく3つのゾーンに分けて活用するのが効果的です。
目線から腰の高さまでの「ゴールデンゾーン」には毎日使うモノを配置します。腰から下の「ローゾーン」には重いモノやストック品を、目線より上の「ハイゾーン」には軽くて使用頻度の低いモノを収納すると、無理のない出し入れが可能になります。
コツ3:将来の変化に対応できる余白を残す
収納スペースをびっしり埋めてしまうと、ライフステージの変化に対応できません。子どもの成長や趣味の変化、季節の入れ替えなどを考慮して、収納全体の2割程度は余白として残しておきましょう。
可動棚やフレキシブルな収納グッズを活用すると、棚板の位置を変えるだけで収納のレイアウトを変更でき、柔軟性が高まります。棚板の高さを後から動かせるスチールラックは、この「変化に合わせる」考え方と相性のいい選択肢です。
コツ4:「アクション数」を減らす設計にする
モノを取り出すまでに必要な動作(アクション)の数が多いと、面倒になって出しっぱなしにしてしまいます。理想は「ワンアクション(1動作)」で取り出せることです。
たとえば、引き出しを開けて箱のフタを開けて中身を取り出すのは3アクションですが、オープンラックに置いてあるモノを手に取るのは1アクションです。よく使うモノほどアクション数を少なくする設計を心がけましょう。
場所別・収納プランニングのポイント
ここからは、代表的な場所ごとの収納プランニングのポイントを紹介します。それぞれの場所に適した収納の考え方を押さえておきましょう。
玄関
玄関は「帰宅動線」の最初の場所です。靴だけでなく、カギ、バッグ、上着、傘、宅配便の受け取りグッズなど、外出・帰宅に関連するモノの収納を計画しましょう。シューズクロークやコート掛けがあると便利です。
キッチン
キッチンは使うモノの種類が多いため、「調理ゾーン」「洗い物ゾーン」「食品ストックゾーン」のように作業エリアごとに収納を分けるのがおすすめです。コンロ周りに調味料、シンク下に洗剤類、作業台の近くに包丁やまな板、といった配置が基本です。
リビング
家族全員が使う場所なので、共有で使うモノ(リモコン、文房具、薬)の定位置を決めることが重要です。テレビ台やシェルフの一角に「家族共用ボックス」を設けると、モノが散らかりにくくなります。中身を見せたくない場合は、フタ付きの収納ボックスを使うと棚の見た目も揃います。
クローゼット・寝室
衣類はシーズンごとにゾーニングし、オンシーズンのモノを手前に、オフシーズンのモノを奥や上段に配置すると衣替えがスムーズです。使用頻度の高いパジャマや部屋着は、ベッド近くの取りやすい位置に収納しましょう。

収納プランニングに使えるツールとサービス
収納プランニングを効率よく進めるためのツールやサービスも活用してみましょう。
間取り図作成アプリ
「間取りTouch+」や「Home Design 3D」などの間取り作成アプリを使えば、スマホで手軽に部屋のレイアウトをシミュレーションできます。収納家具の配置を事前に確認でき、買い物の失敗を防げます。
メジャーとメモ帳
地味ですが最も大切なツールです。収納スペースのサイズを正確に測っておかないと、「買ったけどサイズが合わなかった」という失敗の原因になります。幅・奥行き・高さの3辺を測り、メモに残しておきましょう。手元にメジャーがない方は、1本用意しておくと収納グッズ選びがぐっとラクになります。
整理収納アドバイザーへの相談
自分だけでは計画が立てられない場合は、整理収納アドバイザーに相談するのも一つの方法です。訪問型のサービスを提供している方も多く、自宅に来て直接アドバイスを受けられます。料金の相場は1時間あたり5,000〜10,000円程度で、初回は現状の確認とヒアリングが中心になることが多いです。
収納プランができたら、必要な量とサイズに合う家具を選びます。ベッド・マットレス・収納家具を扱う通販サイト「cacom」では、チェストや棚などを見比べられます。寸法や配送条件は商品ごとに異なるため、プランの寸法を持って公式サイトで確認しましょう。

収納プランニングでやりがちな失敗例
収納プランニングの際に多くの方がやりがちな失敗についても触れておきます。失敗パターンを知っておくだけで、同じ轍を踏まずに済みます。
失敗例1:収納スペースを作りすぎる
「収納は多ければ多いほどいい」と考えて、あちこちに棚やラックを設置してしまうパターンです。収納スペースが増えると、それだけモノが増えやすくなるという落とし穴があります。必要な分だけの収納スペースを確保し、余分なスペースは「余白」として残す意識が大切です。
失敗例2:見た目を優先しすぎる
おしゃれな見せる収納に憧れて、デザイン性の高い収納家具を導入したものの、実際に使ってみると出し入れが面倒で結局使わなくなるというケースもあります。収納は見た目よりも使い勝手を優先して選ぶのが基本です。
失敗例3:家族の意見を聞かずに計画する
自分一人で収納計画を立てても、家族が使いにくいと感じれば結局散らかってしまいます。収納プランニングの段階で家族全員の意見を聞いて、全員が使いやすい配置にすることが、長く機能する収納づくりのコツです。


Q&A|収納プランニングでよくある質問
Q. 賃貸でも収納プランニングはできますか?
A. もちろん可能です。賃貸の場合は、壁に穴を開けずに設置できる突っ張り棒式の棚や、据え置き型の収納家具を活用しましょう。原状回復を意識しながらも、モノの配置や使用頻度に基づいたプランニングは十分に実践できます。
Q. 収納グッズは先に買ってもいいですか?
A. 持ち物の棚卸しと配置計画が終わってから買うのがおすすめです。先にグッズを買ってしまうと、サイズが合わなかったり必要な数が見積もれなかったりして、ムダな出費につながることがあります。
Q. 収納率はどのくらいが理想ですか?
A. 一般的にマンションで8〜10%、戸建てで12〜15%と言われていますが、持ち物の量やライフスタイルによって異なります。大切なのは「収納に余白がある」状態を保つことです。
まとめ|正しい収納プランニングで暮らしをもっと快適に
収納プランニングは、「棚卸し→割り当て→収納率確認→動線配置」の4ステップで進めるのが基本です。
- 持ち物の棚卸しから始め、不要なモノは手放す
- 「使う場所の近くにしまう」を原則にする
- 収納の2割は余白として残す
- よく使うモノほどアクション数を減らす設計にする
- 収納グッズは計画を立ててから購入する
収納は「量」ではなく「質」で決まります。この記事のステップとコツを参考に、自分の暮らしに合った収納計画を立ててみてください。
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参考リンク:注文住宅の収納で後悔しないためのポイント(イシンホーム)|収納プラン(All About)|理想の収納スペースをゼロからつくる方法(cozy life)



